「親から相続した実家が空き家のままになっている」
「いつか使うかもしれないと思いながら、何年もそのままにしている」
「売るべきか、解体すべきか、管理しながら残すべきか迷っている」
このような悩みを抱えている方は、決して少なくありません。
空き家の問題は、すぐに答えが出しにくいものです。
思い出のある家であれば、簡単に売却や解体を決められない気持ちもよく分かります。
ただ、住宅メンテナンスの現場目線で見ると、空き家は人が住んでいる家よりも傷みが早く進みやすい傾向があります。
人が住んでいない家は、換気されず、水道も使われず、雨漏りやカビ、シロアリ被害にも気づきにくくなります。
その結果、最初は小さな傷みだったものが、数年後には大きな修繕費につながることがあります。
さらに近年は、空き家に関する法律や行政の対応も厳しくなっています。
2023年12月には、空家等対策の推進に関する特別措置法の改正法が施行され、「管理不全空家」という区分も設けられました。管理状態が悪い空き家は、固定資産税の住宅用地特例から外れる可能性もあります。
この記事では、空き家を放置するとどうなるのか、管理・売却・解体をどう判断すればよいのかを、住宅メンテナンスの専門家目線でわかりやすく解説します。
- 空き家はなぜ早めの対応が必要なのか
- 空き家を放置すると起こる主なリスク
- 1. 雨漏りに気づかず建物内部が傷む
- 2. 換気不足でカビや湿気が発生する
- 3. 水道を使わないことで排水口から臭いが上がる
- 4. 雑草や庭木が伸びて近隣トラブルになる
- 5. 害虫・害獣が住みつく可能性がある
- 6. 外壁材や屋根材の落下リスクがある
- 7. 不法侵入や放火のリスクがある
- 8. 「管理不全空家」や「特定空家」に指定される可能性がある
- 空き家の所有者には管理責任がある
- 相続した空き家で最初にやるべきこと
- まず確認すべき空き家の状態チェック
- 屋根の状態
- 外壁の状態
- 室内の状態
- 床下の状態
- 敷地まわりの状態
- 自分でできる空き家管理
- 専門業者に依頼すべき点検
- 空き家を維持する場合の判断ポイント
- 空き家を活用する場合の判断ポイント
- 空き家を売却する場合の判断ポイント
- 空き家を解体する場合の判断ポイント
- 管理・売却・解体の選び方
- 管理して残すのが向いているケース
- 活用が向いているケース
- 売却が向いているケース
- 解体が向いているケース
- 空き家対応でよくある失敗
- 1. 家族で話し合わないまま放置する
- 2. 荷物整理を後回しにする
- 3. 雨漏りを放置する
- 4. 解体後の税金を考えずに更地にする
- 5. 業者選びを急いでしまう
- 空き家対応のおすすめ手順
- 手順1. 現状を写真で記録する
- 手順2. 建物の劣化状況を確認する
- 手順3. 家族で方針を話し合う
- 手順4. 自治体の制度を確認する
- 手順5. 専門家に相談する
- 手順6. 管理・活用・売却・解体の方針を決める
- まとめ:空き家は放置せず、早めに方向性を決めることが大切
空き家はなぜ早めの対応が必要なのか
空き家は、今すぐ住んでいないだけで、所有している限り管理責任があります。
「誰も住んでいないから問題ない」
「古いけれど、まだ倒れるほどではない」
「親族で話がまとまってから考えよう」
このように後回しにしてしまうケースは多いです。
しかし、空き家は放置するほど状態が悪くなりやすく、判断も難しくなります。
たとえば、築年数が古い住宅であれば、屋根・外壁・雨樋・床下・給排水設備などが少しずつ劣化しています。
人が住んでいれば、雨漏りや異臭、床の沈み、虫の発生などに早めに気づけます。
しかし空き家の場合は、異常に気づくタイミングが遅れがちです。
気づいたときには、屋根から雨水が入り、天井・壁・床・柱まで傷んでいることもあります。
空き家は「使っていないから傷まない」のではありません。
むしろ、使っていないからこそ傷みやすい場所も多いのです。
空き家を放置すると起こる主なリスク
空き家を放置すると、建物の劣化だけでなく、防犯・衛生・近隣トラブル・税金の問題まで広がる可能性があります。
ここでは、特に注意したいリスクを整理します。
1. 雨漏りに気づかず建物内部が傷む
空き家で特に怖いのが雨漏りです。
人が住んでいれば、天井のシミや壁紙の浮き、カビ臭などで比較的早く気づけます。
しかし空き家では、雨漏りが起きても長期間放置されてしまうことがあります。
屋根材のずれ、棟板金の浮き、外壁のひび割れ、シーリングの劣化、バルコニー防水の傷みなどから雨水が入り込むと、建物内部の木部や断熱材に影響します。
雨漏りを放置すると、次のような症状につながります。
- 天井や壁のシミ
- クロスの剥がれ
- カビの発生
- 木部の腐食
- 柱や梁の傷み
- シロアリ被害の誘発
- 室内の悪臭
最初は屋根の一部補修で済んだものが、放置したことで内装や下地まで修繕が必要になるケースもあります。
2. 換気不足でカビや湿気が発生する
空き家は窓を開ける機会が少なく、室内に湿気がこもりやすくなります。
特に梅雨時期や夏場は、室内の空気が動かず、押し入れ・床下・北側の部屋・水回りなどに湿気がたまりやすくなります。
その結果、カビが発生したり、畳やフローリングが傷んだりすることがあります。
また、湿気が多い状態が続くと、シロアリが好む環境にもなります。
空き家を維持する場合は、定期的な換気がとても大切です。
できれば月に1回程度は窓を開け、室内の空気を入れ替え、押し入れや収納も開放して湿気を逃がすことをおすすめします。
3. 水道を使わないことで排水口から臭いが上がる
空き家では、水道を長期間使わないことによるトラブルもあります。
キッチン、洗面台、浴室、トイレなどの排水口には、下水の臭いが上がってこないように水がたまる構造があります。
これを排水トラップといいます。
しかし長期間水を流さないと、排水トラップ内の水が蒸発し、下水の臭いや害虫が室内に上がってくることがあります。
空き家を管理する場合は、定期的に水を流すことが大切です。
特に夏場は水が蒸発しやすいため、管理に行った際は、キッチン・洗面・浴室・トイレに水を流しておきましょう。
4. 雑草や庭木が伸びて近隣トラブルになる
空き家で多い相談のひとつが、雑草や庭木の問題です。
庭や敷地まわりを放置すると、雑草が伸び、虫が発生しやすくなります。
また、庭木の枝が隣地へ越境したり、道路にはみ出したりすると、近隣から苦情が出ることがあります。
よくあるトラブルは次のようなものです。
- 雑草が伸びて景観が悪くなる
- 蚊や害虫が発生する
- 庭木が隣地へ越境する
- 落ち葉が近隣に飛ぶ
- 道路にはみ出した枝が通行の邪魔になる
- 空き家だと分かり、防犯上の不安を与える
建物だけでなく、敷地全体の管理が必要です。
5. 害虫・害獣が住みつく可能性がある
人の出入りが少ない空き家は、害虫や害獣が住みつきやすい環境になります。
たとえば、次のような被害が起きることがあります。
- ハチの巣
- シロアリ
- ゴキブリ
- ネズミ
- コウモリ
- ハクビシン
- 野良猫の住みつき
特に屋根裏や床下、物置、軒下などは注意が必要です。
害獣が入り込むと、糞尿による悪臭や天井裏の汚れ、断熱材の破損、騒音などにつながることがあります。
また、シロアリ被害が進むと、建物の構造部分に影響することもあります。
6. 外壁材や屋根材の落下リスクがある
古い空き家では、外壁材や屋根材、雨樋、軒天などが劣化していることがあります。
強風や台風の際に、屋根材や外壁の一部が飛散・落下すると、近隣の家や車、通行人に被害を与える可能性があります。
所有者には管理責任があります。
万が一、空き家の部材が落下して他人に被害を与えた場合、損害賠償の問題につながることもあります。
特に注意したい場所は次のとおりです。
- 屋根材
- 棟板金
- 雨樋
- 外壁材
- 軒天
- バルコニー
- ブロック塀
- 門扉
- カーポートや物置
台風や強風のあとには、外回りを確認しておくことが大切です。
7. 不法侵入や放火のリスクがある
空き家は、人が住んでいないことが分かると、防犯上のリスクが高くなります。
郵便物がたまっている、庭が荒れている、夜に明かりがつかない、窓が壊れているといった状態は、空き家であることが外から分かりやすくなります。
その結果、不法侵入、いたずら、ゴミの不法投棄、放火などのリスクにつながることがあります。
防犯対策としては、次のような対応が有効です。
- 郵便物をためない
- 窓や玄関の鍵を確認する
- 割れたガラスを放置しない
- 庭や玄関まわりをきれいにする
- 必要に応じて防犯カメラやセンサーライトを設置する
- 近隣に緊急連絡先を伝えておく
空き家は、見た目の管理も防犯対策になります。
8. 「管理不全空家」や「特定空家」に指定される可能性がある
空き家を放置して状態が悪くなると、行政から指導や勧告を受ける可能性があります。
2023年12月施行の改正空家法では、放置すれば特定空家になるおそれがある空き家を「管理不全空家」として、行政が指導・勧告できる仕組みが設けられました。国土交通省も、改正法の関連情報を公表しています。
特定空家とは、簡単にいうと、倒壊の危険や衛生上の問題、景観の悪化、周辺環境への悪影響がある空き家のことです。
管理不全空家や特定空家として勧告を受けると、固定資産税の住宅用地特例から外れる可能性があります。国土交通省の資料でも、勧告を受けた管理不全空家等の敷地は住宅用地特例の対象から除外される旨が示されています。
つまり、空き家を放置すると、建物の劣化だけでなく、税金面にも影響する可能性があるということです。
空き家の所有者には管理責任がある
空き家は、住んでいなくても所有者に管理責任があります。
相続した実家であっても、名義が変わっていなくても、実質的に管理している人には対応が求められることがあります。
たとえば、屋根材が飛んで隣家の車を傷つけた場合、ブロック塀が倒れて通行人にけがをさせた場合、庭木が越境して近隣に迷惑をかけた場合などは、所有者側の責任が問われる可能性があります。
「遠方に住んでいるから見に行けない」
「兄弟で話がまとまらない」
「誰が管理するか決まっていない」
こうした事情があっても、空き家の劣化は待ってくれません。
まずは、誰が窓口になるのか、誰が定期的に確認するのかを決めておくことが大切です。
相続した空き家で最初にやるべきこと
親の実家などを相続した場合、まず確認したいのは名義です。
2024年4月1日から、相続登記の申請が義務化されています。相続によって不動産を取得したことを知った日から、原則として3年以内に相続登記を申請する必要があります。法務省も相続登記の申請義務化について案内しています。
空き家を売る、貸す、解体する、活用する、いずれの場合でも、名義の確認は重要です。
最初に確認したい内容は次のとおりです。
- 不動産の名義人は誰か
- 相続登記は済んでいるか
- 固定資産税の納税通知書は誰に届いているか
- 家屋と土地の評価額はいくらか
- 建物の築年数はどれくらいか
- 境界や測量図はあるか
- 建物の図面や確認済証は残っているか
- 家財道具はどれくらい残っているか
相続人が複数いる場合は、早めに話し合いをして、今後の方針を決めることが大切です。
まず確認すべき空き家の状態チェック
空き家を今後どうするか判断する前に、まずは現在の状態を確認しましょう。
確認するポイントは次のとおりです。
屋根の状態
屋根は雨漏りに直結する大切な部分です。
ただし、屋根に登って確認するのは危険です。
自分で確認する場合は、地上から見える範囲で、次の点を見てください。
- 屋根材のずれ
- 棟板金の浮き
- 雨樋の外れ
- 軒天のシミ
- 屋根の一部が波打っていないか
- 台風後に破損がないか
高所作業は無理をせず、専門業者に依頼しましょう。
外壁の状態
外壁は、雨水の侵入を防ぐ重要な部分です。
次のような症状があれば注意が必要です。
- 外壁のひび割れ
- 塗膜の剥がれ
- チョーキング現象
- シーリングの割れ
- 外壁材の浮き
- コケやカビの発生
外壁のひび割れやシーリングの切れを放置すると、雨水が内部に入り込むことがあります。
室内の状態
室内では、雨漏りや湿気、カビのサインを確認します。
- 天井にシミがないか
- 壁紙が浮いていないか
- カビ臭くないか
- 床がふわふわしていないか
- 畳が湿っていないか
- 窓まわりに結露跡がないか
- 押し入れにカビがないか
室内の臭いも大切な判断材料です。
入った瞬間にカビ臭い、湿気臭い、下水臭いと感じる場合は、原因を確認した方が安心です。
床下の状態
床下は普段見えないため、傷みに気づきにくい場所です。
特に空き家では、床下の湿気やシロアリ被害が進んでいることがあります。
確認したいポイントは次のとおりです。
- 床下に湿気が多くないか
- カビ臭がしないか
- 木部が腐っていないか
- シロアリの蟻道がないか
- 配管から漏水していないか
床下点検口がある場合でも、無理に奥まで入る必要はありません。
不安がある場合は、専門業者に床下点検を依頼しましょう。
敷地まわりの状態
空き家は建物だけでなく、敷地全体の管理が必要です。
- 雑草が伸びていないか
- 庭木が隣地へ越境していないか
- ブロック塀に傾きやひび割れがないか
- 門扉やフェンスが壊れていないか
- ゴミが捨てられていないか
- 郵便物がたまっていないか
- 雨水が敷地内にたまっていないか
外から見て荒れている印象があると、空き家だと分かりやすくなり、防犯面でも不利になります。
自分でできる空き家管理
空き家をすぐに売却・解体しない場合は、定期管理が必要です。
自分でできる管理としては、次のようなものがあります。
- 月1回程度の換気
- 水回りへの通水
- 郵便物の回収
- 室内のカビや雨漏り確認
- 庭木・雑草の管理
- 雨樋や排水まわりの確認
- 窓や玄関の施錠確認
- 台風や大雨後の外回り確認
- 写真を撮って状態を記録する
特におすすめなのが、写真で記録することです。
屋根、外壁、室内、床下点検口、庭、ブロック塀などを定期的に撮影しておくと、劣化の進み具合が分かりやすくなります。
また、専門業者に相談するときにも、写真があると状況を説明しやすくなります。
専門業者に依頼すべき点検
次のような内容は、無理に自分で行わず、専門業者に依頼した方が安心です。
- 屋根点検
- 雨漏り調査
- 外壁の劣化診断
- シロアリ調査
- 床下点検
- 電気設備の確認
- ガス設備の確認
- 給排水設備の確認
- 建物全体の劣化診断
- ブロック塀や擁壁の安全確認
特に屋根や高所、電気・ガス・水道に関わる部分は、自己判断で触らないようにしましょう。
空き家は長期間使われていない設備も多いため、再使用する場合は専門確認が必要です。
空き家を維持する場合の判断ポイント
空き家をすぐに売却や解体せず、しばらく維持する場合は、管理費用と手間を考える必要があります。
維持を選ぶのに向いているケースは次のような場合です。
- 将来、自分や家族が住む予定がある
- 建物の状態が比較的よい
- 定期的に管理できる人がいる
- 立地がよく、将来活用の可能性がある
- 修繕費が大きくかからない
- 家族で残す方針が決まっている
一方で、管理できる人がいない、雨漏りや腐食が進んでいる、毎年の管理費用が負担になっている場合は、維持以外の選択肢も検討した方がよいでしょう。
維持する場合は、最低でも次の費用を考えておきたいところです。
- 固定資産税
- 火災保険
- 草刈り費用
- 修繕費
- 点検費用
- 水道・電気などの基本料金
- 防犯対策費
- 遠方の場合の交通費
空き家を残すということは、思い出を残すことでもあります。
ただし、同時に管理責任と維持費も発生します。
空き家を活用する場合の判断ポイント
建物の状態がよく、立地にも需要がある場合は、空き家を活用する方法もあります。
主な活用方法は次のとおりです。
- 賃貸住宅として貸す
- リフォームして住む
- セカンドハウスとして使う
- 店舗や事務所として貸す
- 民泊や宿泊施設として活用する
- 空き家バンクに登録する
- 地域活動の拠点にする
ただし、活用するには建物の安全性が重要です。
雨漏り、床の沈み、シロアリ、耐震性、給排水設備、電気設備などに問題がある場合は、先に修繕が必要になります。
特に人に貸す場合は、貸主として安全な状態を保つ責任があります。
「古いけれど貸せるだろう」と安易に考えず、専門業者に点検してもらったうえで判断しましょう。
空き家を売却する場合の判断ポイント
空き家を今後使う予定がない場合は、売却も有力な選択肢です。
売却には、主に次の方法があります。
- 古家付き土地として売る
- 建物を解体して更地で売る
- リフォームしてから売る
- 不動産会社に買取してもらう
- 空き家バンクに登録する
どの方法がよいかは、建物の状態、立地、築年数、土地の需要、解体費用によって変わります。
建物がまだ使える状態であれば、古家付き土地として売れることもあります。
一方で、建物の劣化が激しい場合は、買主が解体費用を見込んで価格交渉することがあります。
売却を考える場合は、次の準備をしておくとスムーズです。
- 登記名義の確認
- 相続登記
- 固定資産税評価額の確認
- 土地の境界確認
- 建物の築年数確認
- 雨漏りや修繕履歴の整理
- 家財道具の片付け
- 複数の不動産会社への相談
売却は、建物の状態が悪くなればなるほど選択肢が少なくなりやすいです。
使う予定がない場合は、早めに相談することで、よりよい条件で進められる可能性があります。
空き家を解体する場合の判断ポイント
建物の劣化が激しい場合や、今後使う予定がない場合は、解体も選択肢になります。
解体を検討した方がよいケースは次のとおりです。
- 雨漏りが長期間続いている
- 建物が傾いている
- 床が大きく沈んでいる
- シロアリ被害が進んでいる
- 屋根や外壁が落下しそう
- 近隣から苦情が出ている
- 修繕費が高額になる
- 売却時に更地の方が需要がある
- 今後使う予定がまったくない
ただし、解体には注意点もあります。
住宅が建っている土地には、固定資産税の住宅用地特例が適用されていることがあります。
建物を解体して更地にすると、この特例が外れ、土地の固定資産税が上がる場合があります。
そのため、解体する前には、税金・売却予定・土地活用の方針を確認しておくことが大切です。
また、自治体によっては空き家の解体補助金が用意されている場合があります。
解体を検討する場合は、まず自治体の窓口で補助金制度を確認してみましょう。
管理・売却・解体の選び方
空き家の対応は、大きく分けると「管理して残す」「活用する」「売却する」「解体する」の4つです。
それぞれの判断目安を整理します。
管理して残すのが向いているケース
- 将来住む予定がある
- 家族で残す方針が決まっている
- 建物の状態が比較的よい
- 定期的に管理できる
- 維持費を負担できる
- 思い出の家として残したい
残す場合は、管理計画を作ることが大切です。
「なんとなく残す」ではなく、誰が、いつ、どのように管理するのかを決めておきましょう。
活用が向いているケース
- 立地がよい
- 建物の状態が悪くない
- リフォーム費用をかけても回収できそう
- 賃貸需要がある
- 空き家バンクなどの活用が見込める
- 地域に移住希望者がいる
活用する場合は、建物診断と費用試算が重要です。
修繕費をかけすぎると、収益化が難しくなることもあります。
売却が向いているケース
- 今後使う予定がない
- 管理が負担になっている
- 遠方で通えない
- 家族で残す必要がない
- 維持費がもったいない
- 建物がまだ売れる状態にある
売却は、早めに動くほど選択肢が多くなります。
建物が大きく傷む前に相談するのがポイントです。
解体が向いているケース
- 建物の劣化が激しい
- 修繕費が高額になる
- 倒壊や落下の危険がある
- 近隣に迷惑をかけている
- 更地で売却した方がよい
- 管理不全空家や特定空家のリスクがある
解体は最後の手段に見えるかもしれませんが、危険な空き家を放置するより、早めに判断した方が結果的に負担を減らせることもあります。
空き家対応でよくある失敗
空き家対応では、次のような失敗がよくあります。
1. 家族で話し合わないまま放置する
相続人が複数いる場合、誰も決められないまま何年も放置されることがあります。
その間も固定資産税や管理責任は発生します。
早めに家族で話し合い、管理担当者や今後の方針を決めましょう。
2. 荷物整理を後回しにする
空き家には、家具・家電・衣類・書類・仏壇・思い出の品などが残っていることが多いです。
荷物整理が進まないと、売却も解体も進みません。
一度にすべて片付けようとすると大変なので、部屋ごとに少しずつ進めるのがおすすめです。
3. 雨漏りを放置する
雨漏りは、空き家の劣化を一気に進めます。
「どうせ住んでいないから」と放置すると、建物の価値が大きく下がることがあります。
売却や活用を考えるなら、雨漏りだけは早めに確認しましょう。
4. 解体後の税金を考えずに更地にする
古い建物を解体すればすっきりしますが、更地にすると固定資産税が上がる場合があります。
解体前には、税金、売却予定、補助金、土地活用の方針を確認しておきましょう。
5. 業者選びを急いでしまう
空き家の売却、解体、リフォームでは、業者選びが重要です。
急いで1社だけに決めるのではなく、複数社に相談し、説明内容や見積もりを比較しましょう。
特に解体工事では、追加費用、近隣対応、残置物処分、アスベスト調査なども確認が必要です。
空き家対応のおすすめ手順
空き家をどうするか迷ったときは、次の流れで進めると整理しやすくなります。
手順1. 現状を写真で記録する
まずは建物と敷地の状態を写真に残しましょう。
撮影しておきたい場所は次のとおりです。
- 外観
- 屋根
- 外壁
- 雨樋
- 玄関
- 室内全体
- 天井や壁のシミ
- 床の沈み
- 水回り
- 床下点検口
- 庭
- ブロック塀
- 隣地境界
写真があると、家族との話し合いや専門業者への相談がしやすくなります。
手順2. 建物の劣化状況を確認する
次に、建物が使える状態なのか、修繕が必要なのかを確認します。
雨漏り、シロアリ、床の沈み、外壁の劣化、設備の故障などを整理しましょう。
不安がある場合は、住宅メンテナンス業者や建築士に点検を依頼するのがおすすめです。
手順3. 家族で方針を話し合う
空き家は、家族の思い出や相続の問題が絡むため、感情面でも難しいものです。
しかし、方針を決めないまま放置すると、建物の劣化と費用負担だけが増えていきます。
話し合う内容は次のとおりです。
- 誰かが住む予定はあるか
- 残したい気持ちはあるか
- 管理できる人はいるか
- 維持費を誰が負担するか
- 売却する場合、誰が窓口になるか
- 解体する場合、費用をどうするか
感情だけでなく、費用と管理責任も含めて考えましょう。
手順4. 自治体の制度を確認する
自治体によっては、空き家に関する支援制度があります。
たとえば、次のような制度です。
- 空き家バンク
- 解体補助金
- リフォーム補助金
- 移住・定住支援
- 耐震改修補助
- 空き家相談窓口
制度は自治体によって異なります。
まずは市区町村の空き家相談窓口や建築指導課、都市計画課などに相談してみましょう。
手順5. 専門家に相談する
空き家の方針を決めるには、複数の専門家の意見が役立ちます。
相談先としては、次のようなところがあります。
- 住宅メンテナンス業者
- 建築士
- 不動産会社
- 解体業者
- 司法書士
- 税理士
- 自治体の空き家相談窓口
建物の状態は住宅メンテナンス業者や建築士、不動産や売却は不動産会社、名義や相続登記は司法書士、税金は税理士に相談すると安心です。
手順6. 管理・活用・売却・解体の方針を決める
最後に、現実的な選択肢を決めます。
無理にすぐ決断する必要はありません。
ただし、期限を決めずに先延ばしにすると、空き家はどんどん傷んでいきます。
「半年以内に方針を決める」
「まず点検を受ける」
「今年中に家財整理を終える」
「売却査定だけでも取ってみる」
このように、次の一歩を具体的に決めることが大切です。
まとめ:空き家は放置せず、早めに方向性を決めることが大切
空き家は、誰も住んでいなくても、所有している限り管理責任があります。
放置すると、雨漏り、カビ、シロアリ、外壁や屋根材の落下、雑草、害虫、防犯リスク、近隣トラブルなど、さまざまな問題につながる可能性があります。
さらに、管理状態が悪い空き家は、管理不全空家や特定空家として行政から指導・勧告を受ける可能性があります。
空き家対応で大切なのは、次の3つです。
- まず現状を確認する
- 家族で方針を話し合う
- 管理・活用・売却・解体の中から現実的な選択をする
思い出のある家をどうするかは、簡単に決められることではありません。
しかし、何もしないまま放置すると、建物の価値が下がり、修繕費や管理負担が大きくなることがあります。
まずは、写真を撮る、換気する、通水する、外回りを確認する。
この小さな一歩から始めてみてください。
空き家は、早めに向き合うことで、残す・活用する・売る・解体する、どの選択肢も取りやすくなります。
大切なのは、「いつか考える」ではなく、「今の状態を知る」ことです。
空き家を放置せず、家族と相談しながら、安心できる対応を進めていきましょう。

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